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「ファクトリー・サイエンティスト育成カリキュラム試験講座」実施報告

2019年03月21日

  • 実施報告

実証報告

2018年12月12日から、2019年1月30日で全5回に分けて「ファクトリー・サイエンティスト育成カリキュラム試験講座」を行いました。開催場所は、横浜会場(慶應義塾大学SFC研究所ソーシャル・ファブリケーション・ラボ)、浜松会場(株式会社桜井製作所)、熊本会場(ポリテクセンター熊本)の3箇所で、遠隔ビデオ会議システムを使った遠隔同時講座として実施しました。

受講生は5日間の講座を通して「金型の温度モニタリングシステムおよびタブレットアプリ」、「恒温質の室温モニタリングと異常値の予知(未完成)」、「吸湿性のある材料の保管に関する気温、湿度のモニタリングと改善」など、各受講生の職場をフィールドにしたソリューションを制作、提案していただけました。

試験講座受講生人数:横浜会場5名、浜松会場2名、熊本会場4名 実施日時:2018年12月12日、19日、2019年1月16日、23日、30日 (各10:00〜16:00)

当日の授業風景

受講生インタビュー

実証試験を受講していただいた有限会社小森プラスチック工業の村上様を訪問して、受講後の取り組みをインタビューしました。

受講後の取り組み

村上さんは当講座を2019年1月に修了してから、勤務先である有限会社小森プラスチック工業に戻って金型の温度管理システムを作り上げました。現在本格導入に向けてテストを重ねています。

制作したシステム

村上さんは、講座で学んだツールを使って、射出成形機の金型温度をモニタリング・ロギングする装置を制作しました。温度の異常を検知すると、管理者のiPadにアラートを送り状況の確認を要求します。 村上さんの工場では、これまで金型の温度管理を手書きで紙に集計していました。発注管理、在庫管理などはシステムの導入で自動化が進んでいましたが、生産管理の部分では様々な機械が混在するため、なかなかシステムの導入が進まなかったと言います。

写真:村上さんが授業を通して作成したIoTデバイス(温度計) 金型に取り付けやすいよう、ケースにマグネットをつけて工夫

受講前は、IoTやネットワークに関する知識はほとんど無かったと不安そうにしていた村上さんでしたが、ファクトリー・サイエンティスト養成講座を通して、自分たちで出来る幅が広がり、ちょっとしたアイディアはすぐに試すことが出来るようになったと語ってくださいました。村上さんと一緒に受講した同僚の夏井さんも、状況確認画面の視認性を高めるためにiPad上のアプリ画面を作り込んでいました。その凝り様を見ると、自ら楽しみながら作り上げてくれたことを感じました。

導入効果

これまで1日4回、工場内を担当者が歩いて回ってアナログ温度計を読み取り紙に記入して集計していました。この作業におよそ180分をかけていましたが、その全てを自動化することができたということです。また、過去のデータもデジタル化することで活用しやすくなったため、取り溜めたデータを活用できないか模索しているそうです。

さいごに

ファクトリー・サイエンティストの講座では、計5回の講座の中でそれぞれの抱える課題を講師が聞き取り、メンタリングして授業の中で一緒になって作り上げていきます。モニタリングだけでなく、取り溜めたデータにどの様な可能性があるのかまで考えていただく講座内容になっています。是非お問い合わせください。