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ファクトリーサイエンティストな人 第9回:FS協会 TA/事務局 橋口貴志

2023年08月07日

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「ファクトリーサイエンティストな人」は、ファクトリーサイエンティスト協会(以下FS協会)の創設メンバーや理事・講師・TAをはじめとするFS協会に関わる人々を紹介するコーナーです。「ファクトリーサイエンティスト」って何?どんな人が関わっているの?という疑問や、それぞれのメンバーが「ファクトリーサイエンティスト」に込めた想いをお伝えしていきます。

第9回はS育成講座でTA(Teaching Assistant)と事務局を担当している橋口さんに、TAになったきっかけや、TAとしてFS育成講座について思うこと、これからのFS協会について広報の西野がインタビューしました。

(西野)まず橋口さんの自己紹介をお願いします。

(橋口)
現在は愛知県の豊橋に住んでいます。FS協会での活動のほか、現在はECサイトのプライベートブランド立ち上げに向けた商品開発に参画したり、地元のショップなどと廃棄食材を使ったプロダクトの開発を手掛けています。

埼玉出身です。これまで様々な職業を経験してきました。工業高校出身で工務店に勤めていたのですが不況で倒産。カレー屋さんのアルバイトをしていたところオーナーより話があり、アジア人向けのスーパーの店長を任されて店舗インテリアにも携わったり、医療器具メーカーでメカ系の設計に従事したりしていました。その後、愛知へ移住しメカ系の設計を行なっていました。

元々ものづくりが好きでした。その延長で働きながらデザイン学校に通い、家具デザインの勉強しました。スウェーデンの家具の展示会へ展示したこともあります(2007年)。

その時に知り合ったスウェーデン在住のグラフィックデザイナー(当時は留学生)と愛知移住後に知り合った東京在住の知人と「3人で何かものづくりをしてみよう。距離も離れているのでアプリ開発がよさそう」と話していたのですが、3人とも「手帳好き」という共通点がありました。そこで2010年より手帳の開発をはじめました。

スウェーデン、東京に住む友人とで週1回Skypeで打ち合わせを重ね、アイデアが形になってきたので思い切って富山県で開催されたデザインコンペに出したところ入賞し、審査員の前でプレゼンする権利をもらいました。手帳をつくりその機能をテーマにプレゼンをしたのですが、審査員からは「デザインのコンペだから機能ではなくて」と言われました。ただ、参加者からは「すごくいい機能だから商品化してほしい」という声があり動き始めます。商品化までに3年を費やした後、2014年に「イレコ手帳」として販売を開始しました。

上が月間、下は週間。月間と週間が入れ子になっているので「イレコ手帳」です。小型でモノレスキンのカバーにも入るようなサイズです。1-6月、7-12月と2冊に分けて薄さを実現する工夫をしています。海外の方にも人気があります。複雑な製本のため、印刷してくれるところが少ないんですね。途中まで製本メーカーに依頼、半量産、半加工で制作しています。2020年からお互い忙しくなり今は僕一人でつくっています。2024年版の発売もちょうど始まったところです。

シンプルとスマートさを追及した手帳で、薄くてコンパクト。長いページと短いページがある

現在は、豊橋の駅前にある全国でもめずらしい用水路の上にある商店街を拠点にしています。

建物は昭和な雰囲気が特徴です。商店街なので昔からいる人も新しく入って来る人も混在しているのが面白いです。目の前には近未来的な図書館があるかと思えば古い商店がある。このごちゃまぜ感が魅力です。

水路の上の商店街。上が商店街、下は商店街の一角(豊橋市)

(西野)ファクトリーサイエンティスト協会に参画されたきかっけを教えてください

(橋口)
転職先の設計事務所で、社員教育の一環でファブラボ浜松へ訪問する機会がありました。FS協会の専務理事の竹村さんと知り合ったのがきっかけでお声がけいただき、FS協会の活動のサポートをさせていただくことになりました。

主に、講座準備、動画編集とTAをさせていただいています。個人的に楽器製作などの電子工作やプログラミングなどは趣味の延長で、ある程度馴染みがありました。なので、FS講座を受講して「マイコンからデータを取得して可視化する」という流れを実感できて、これをどう活用するかという気づきがありました。自身では工場は持っていませんが、先ほどお話しした古い商店街が活動の拠点なのでここで活かせることがあるのでは、と模索しているところです。

FSもそうですが、とりあえずやってみよう。まずは手を動かしてみる。実験してみる。そうすると見えてくるものがあると思います。

(西野)ファクトリーサイエンティスト協会の魅力について聞かせてください。

(橋口)
ファクトリーサイエンティストは「とりあえずやってみてから判断してみようという活動」でもあると思うのでスピーディな感じが魅力だと思います。工場で長く同じ仕事をされている方、現場のノウハウに精通されている方の中にはパソコンに不慣れな方もいますが、一通り受講すると、ハードルは低い世界だと感じてもらえると思います。

また、事務局メンバーは皆さん他の仕事と兼業しながら取り組まれています。ですが、だからと言って片手間というわけではありません。皆さんすごいと思います。居心地もよく仕事もやりやすいです。

(西野)FS育成講座をどのような方に勧めたいですか。

(橋口)
自分自身受講してみて、FS講座を学ぶマイコンや、ツールの数々は、素早くパパッと調査して様子を見るということにとても特化しているツールだと思いました。
なので、ご自身の業務の中で、ここがこうなるといいのにと普段から問題意識を持っていらっしゃる方にとって、FS講座にて学ぶ内容は、最適な解決ツールになりうると思います。

また、PC、マイコンなどに不慣れとしても、熟練されたスキルを持っている現場の方にとっても有用なツールだと思いました。そのような方は、長年の経験から、ここに問題があるという勘所を知っていらっしゃるので、FS講座で使うセンサー類で素早くデータを取り込み、そこから見えてくる情報から次の一手を進めるということに役立つからです。

FSで学ばれたことと自身で熟練したノウハウを組み合わせ、気づきを得られると思います。また、発言力のある上の方(orマネジメント層の方)が受講することで、現場全体にファクトリーサイエンティストの精神が浸透していくとよりいい方に回っていくのではと感じました。

(西野)ファクトリーサイエンティスト協会の10年後の姿をどのように描いていますか?

ファクトリーサイエンティストという考え方の持ち主がどんどん増えていけば、この協会の役目は一旦終了というところまで到達するといいかもしれません。

10年後には、サービスが変わったり、今までのスタンダートは別の考え方になっているかもしれません。「スモール・スタートですばやく動く」ことができるノウハウはこれからもっと重要になると思います。そうした目線をもつ人が増えてくるといいのかなと思います。


取材担当西野の一言

ものづくりが元来好きで、メカの設計、デザインを学び、講座ではTA、動画編集、事務局の仕事とマルチな仕事をされている橋口さん。
「自分の興味の領域を自然体で広げ、それらが重なり合い強みをつくっている人」。お話を聞きながら感じた印象でした。FSの10年後をどう描いているか? 毎回FSな人の取材の時に一番好きな質問なのですが、橋口さんが考える未来も、いかがでしたでしょうか?
次回FSな人では、理事の川野氏が登場します。お楽しみに!